不動産投資

不動産投資の節税効果。無視していい人。信じていい人。

セールストークで「不動産投資は節税になる」というのは良く聞く。

「不動産投資は実際には節税にはならない。」という人もいるだろう。が実際はどうだろう。

個人所有の場合、「所得税・住民税」の節税につながる可能性はある。

法人所有の場合は「法人税」の節税につながる可能性がある。

簡単に言えば「収入」から「経費」を引いてマイナスになればその分損益通算して節税になる可能性がある。ということだ。儲かっていないということ。そもそも論だが「不動産投資」という題目なのに儲かっていない。のは本末転倒な関係性な気もする。

ここには「不動産投資 節税」のキーワードを「無視していい人」「信じていい人」双方が存在する。自分はどちらなのか是非読んで判断してもらいたい。

不動産投資、3つの節税メリット

節税とは裏を返せば総合的にマイナスになること。どういうことか。

減価償却の恩恵

このキーワードが一番節税には大きく効いてくる。実際には経費としてお金を使ってるわけではなのに経費として差し引いて良い「恩恵の経費」とでも言っておこう。不動産を取得すると、その建物部分は時間経過と共に価値が落ちていく。法定耐用年数経過後ゼロとして、木造は22年でゼロに。RC造は47年でゼロになっていくイメージだ。その目減り分を必要経費(損金)で算入できる。

物件取得年月によって、あと何年損金(必要経費)にできるかが変わってくる。

詳しくは対象の物件で、不動産会社、税理士に聞いて確かめるとすぐに出してくれる。

計算式は

償却年数=(法定耐用年数-経過年数)+経過年数×0.2

●木造の場合は法定耐用年数が22年。

●築10年の木造物件を購入した場合

(22-10)+10×0.2=14年。

2,800万円で購入した場合、毎年200万円を14年間損金として参入できるわけだ。

もう少し築古を同じ金額で購入し、この14年部分が半分の期間7年の残存で見ると、毎年400万円が損金となる。

古ければ古いほど節税効果は高い。とも言える。

個人の場合は会社からもらっている給与所得から不動産の損失を引くことが出来る。

法人で不動産を所有している場合は、法人の所得から不動産の損失を引くことが出来る。

給与収入が年間400万円であれば、損金400万円を引けて所得をゼロにすることが可能。結果、所得税・住民税もゼロになる。実際には経費として400万円をつかっているわけではないのに。だ。

不動産投資に関わる経費

節税はマイナス。とにかく経費をどう計上できるかだ。以下は経常可能な経費の項目。

税金、保険料

固定資産税、都市計画税、不動産取得税、収入印紙代など

保険料

火災保険、地震保険など

賃貸経営のための業務委託料

通常家賃の5%前後を手数料として、不動産管理会社に賃貸の管理、客付をまかせることがほぼだ。その業務委託料など

修繕費

クロスの張替えやクリーニングなど原状回復的な意味合いの修繕は、修繕費として経費にできる。マンションの場合、管理費、修繕積立金も経費にできる。

原状回復的な意味合いとは異なる、「機能を向上させるため」リノベーションや設備のバージョンアップ等の費用は固定資産と同じあつかいで、耐用年数で減価償却する必要がでてくる。

ローンの金利

建物割合部分のローン金利は経費とできる。土地部分を排除しなければならいのがポイントだ。

不動産業者、入居者との交渉に関するもの

入居付のためにかかった交通費や交渉にかかわる打ち合わせの時のコーヒー代など

相続税に関連する節税

「相続税対策」で不動産を買いませんか。もよく聞くワードだ。何度も言うが節税に関するものは「儲けていない」ということ。

1億円現金があり、亡くなった場合、その1億円に相続税がかかる。

1億円の不動産を購入した場合、買った瞬間に路線価で不動産評価が決まる。

「小規模宅地の特例」というものに当てはまれば不動産の評価額は、居住用では80%オフ、投資用では50%オフされる。

1億円で買った不動産、投資用の要件にあてはまれば、評価額は5,000万円。相続財産が一気に半分になり相続税でもっていかれる金額的に大きな「節税」にはなる。

不動産投資、3つの税金デメリット

 固定資産税・不動産取得税が発生する

所得税・住民税は節税できる可能性がある。それとは別途、不動産を所有することによって固定資産税(毎年)や不動産取得税(初回のみ)はかかる。

固定資産税=固定資産税評価額×1.4%

3,000万円の不動産、固定資産税評価額が1,000万円だとすると、

  • 中古の場合:1,000万円×1.4%=14万円/年
  • 新築の場合:1,000万円×1.4%×0.5=7万円/年

の固定資産税がかかる。節税したのに毎年税金が別途かかることを認識しておきたい。

減価償却終了後は増税の可能性

減価償却がある期間は実際には経費として使っていないのに、経費算入できるが、期間が終わると減価償却できなくなりる。銀行からのローンの利息割合も少なくなり更に経費算入が減る。

帳簿上マイナスにならない限り節税にはならない。

実際はローン支払いを行いながら、経費が少なくなり利益がでて税金は収めることになる。結果手元のキャッシュは減少していくという現象が起きる。

増税とは言うが本来は利益をたくさん出して税金を納め、キャッシュがしっかり残る運営が本来ではある。

売却時に支払う税金

これは「譲渡所得税」と言われるもので、所有5年以内の場合にデメリットを被る可能性があるものだ。

個人の場合、5年以上所有した場合、譲渡所得税は利益に対して約20%(長期譲渡所得)。5年未満の所有で利益を出して譲渡した場合、約40%(短期譲渡所得)の税金を支払仕組みになっている。

法人の場合、所有期間に関係なく利益に対して一律の法人税がかかる。(平成30年度の実効税率は33.59%)

短期で売るなら個人より法人の方が節税だ。

法人税は経常利益額によって実効税率が変わり、経常利益800万円未満で約25%、800万円以上で約33%となっている。

まとめ

お金を増やすフェーズになく、税金でとられるものを抑えたいフェーズの人は「節税用の投資」が向いているといえる。

お金を増やしていきたいフェーズの人は「節税用の投資」は向かない。投資というくらいだから資産形成が目的なのが本来でもある。

「節税」は確かにできる。それは様々な項目で経費を利用しマイナスにすることだ。不動産の強みである「減価償却」をうまく活用しての「節税」は有用。儲かっているけど、税金が軽減するという状態は得だ。

個人所有の場合、5年以上所有でなければ譲渡所得税率も高いことは認識して総合的に得をとっていくよう心掛けるべきだろう。