「築50年のマンションが売れないんだけどあんたんとこで売れる?」
売りに出して半年売れないということでこう聞かれ、親族としては手伝いたいのも山々だったのだが、あまりに遠く対応が確実に後手に回りそうだったので、遠隔でアドバイスした。
30歳で購入していても50年経てば80歳。
築年数も50年となれば建物のみならず、売主自身の体力的にも売却は大変だ。
買主的には「購入後地震は大丈夫かな?修繕されてきてる?まだずっと住める?」など懸念されることが多く、築50年のマンションが売れにくいことは認識が必要だ。
今回は身内だけに直球で辛らつなアドバイスもあるが、「売れにくい」ということで「売れない」わけではない。ただし売るにはちょっとしたテクニックがある。もし同じ境遇の人がいれば参考にしてほしい。
マンションは借地?売れないという前に確認すべき5項目
「おばちゃん、これ不動産業者と相談しながら全部トライ、確認して。だめだったら速攻で価格をめちゃ下げて売ったほうがいいよ」と開口一番にお願いした確認5項目。
マンションの土地は定期借地権ではない?
築50年はもちろん売りやすいわけではないが、それに相まって借地権だった場合、更に考慮が必要だったので聞いてみた。結果、所有権だったが、借地の場合は金融機関からの融資審査が厳しかったり満了の期日と更新料などを調べておく必要がある。
住宅ローンの仮審査した?
買うのは買主。住宅であればかなり多い割合で住宅ローンを利用する。その根源、住宅ローンとしてそもそも金融機関が融資金額を買主に出してくれないと業者的には話が進まず、売却を手伝いたいとは思いにくい。対象のマンション価格相場が800万を下回るものであれば現金買いも十分視野にはいるのでローン審査はしなくても良いだろう。
審査で重要なのは「いくらまで融資金額が出るか」と「融資期間」。融資年数が短い住宅ローンだとこれもまた買主が付きにくい。月額の支払いが上がるからだ。初期段階で知っておけば価格設定や不動産会社のやる気に大いに役立つ。遠慮なく不動産会社や金融機関に相談すべき。
インスペクション。耐震診断を
買主が結構気にする「耐震性」。日本では仕方のないことだしむしろ気にするのは当たり前のことだろう。1981年6月1日以降に建築確認が承認された建物は新耐震基準を満たしている。築50年はこの基準を満たしていないことから旧耐震と呼ばれ、買主が最初に懸念する事項だ。それを払拭するためには検査して耐震基準を満たしているかどうかを出す必要がある。もちろん、こんな単語は初めて聞くらしく、どうやっていいかも分からないのが当たり前。これも不動産会社に相談。
管理費、修繕積立金滞納(重要調査事項説明)
マンション管理会社に言えば取り寄せることが可能だが、このときは不動産会社に頼んでもらった。この重要調査事項説明で分かるのが、マンション全体の金銭的な管理状況。各部屋から毎月、管理費・修繕積立金を管理組合が徴収していると思うが、意外にも納めてない、もしくは納める体力がなくなっている人少し存在する。管理が行き届いていれば督促や回収もうまく行うのでそこまで未回収が膨れ上がることは無いがどのくらいの滞納があるのかは管理に直結するので聞いておくべきだ。買主が最後に知ってこれを理由にやめることもある。
今の管理費・修繕積立金の合計が3万円を越えていないか
これは今まさに自分が毎月払っているものだから普通は知っている。と思いがちだが、大分昔に通帳から引き落としにしている、や、管理組合主催の総会にもほぼ出席していないとなると、今現在いくら引き落とされているか結構しらないものだ。事実分かっていなかった。気にしていないのだ。
しかしながら次の買主は恐らく物件価格の次位の順位で気にする。毎月かかってくるコストとみなし、ここが大きいと建物価格が多少安くても飛びついて買ってはくれなくなる。
借地であったり、ローンが3行ほどやってどこもつかない、耐震基準も満たさない、マンション全体として管理費、修繕積立金の滞納額が大きい、そもそも管理費・修繕積立金の合計が毎月3万円を越える。といった場合、迷わず思い切った価格設定で売り切ったほうが良い。
買主から見てトータルバランスで「買っても得だな」と思える条件を設定できなければ長い戦いになり、なんとか売れれば良いが最終的に負け戦になる可能性も含んでしまう。
前提条件
一般王道的には築50年のマンション価値は新築時の30%と言われている。建ってから即10%下落し、それから20年かけて建物部分は下がっていく。20年から25年経つと価格は落ち着いて緩やかに下落していく。
首都圏は築30年のマンションが30年前の価格、もしくはそれより高くで売られていることが多々ある。立地と人の流入で下がらないエリア、下がりにくいブランドマンションなどが存在するからだ。
人が素くなっている地方は売れない。売りにくいといった状況になるのが現実だろう。全く買主がいない。といったような固まる状態の前に早く安くでも手放すことが必要だ。
築30年を越えたら築年数より管理状況を買え。と不動産会社は言う。建物管理がしっかりされていれば、築30年~築50年は買主はそれほど差を感じない。手入れがおろそかな築50年のマンションは処分にかなり困る。外観からもそれはつわたってくるだろう。
売り切る方法はシンプルに3通り
マンションは抱えているだけで管理費や修繕積立金、固定資産税や都市計画税がかかる。住んでいなかったり賃貸もしていない、売ることを決めている。といった場合、一日でも早く手離れしたほうが得策だ。それには割り切りも必要な時がある。自身の状況を見極め決断していこう。
リノベーションして売る(価値をつけて売る)
立地がよければリノベしてそれなりの価格にして売る。はやぶさかではない。立地が悪いと自分でも理解できるようであればリノベは絶対にしないほうが良い。リノベ費用だけかかってしまいその分損失になる可能性も十分にある。ハウスクリーニングを十分に行い売却に備えよう。
極限まで下げて売る
なかなか売れない場合は価格を下げるしかない。価格をさげれば様々な需要で買主がつく可能性がある。後述するが自分でリノベして住みたい人。賃貸物件として投資目的で利回りを求めて購入する人など。損切覚悟で価格を設定するかどうかは不動産会社と相談しながら決めていくと極限価格は見えてくるだろう。
業者に買取してもらう
価格を限界まで下げて売る相談をしているときに、是非ついでに不動産会社に「買い取ってもらうとしたらいくら位で可能ですか」と聞いてみてほしい。通常の仲介会社であれば買取も十分対応できるはずだ。小さすぎる会社だと買い取る現金の余裕がない会社もあると思うので、ある程度体力がありそうな会社に聞いて比較が必要だ。
一都三県であればマンション査定に特化したイエシルマンション査定や、全国区の一括査定サイト大手イエイの一括査定などを利用すれば営業マンから数日以内に連絡がくるだろう。買取の金額は不動産会社が自腹を切るのでうわついた金額は無く、全て実金額となる。最低でも3社は必ず聞いて比較しよう。買取は仲介手数料は発生せず、瑕疵担保も免責で買い取ってくれるはずだ。そこもしっかり条件を確認したい。
買主の思惑を知ろう
マンションは一人が買ってくれればいい。ニッチでもいいからターゲットを知り、そこにリーチできることが必要だ。
自己居住用の人(自分で住む)
築古を探している人は、安く住めれば良いと、建物はある程割り切って選ぶ人もいる。この場合、自分自身で最低限のリフォームをする人が多く、リフォーム・リノベーションはせずに売ったほうがリーチしやすい。
他方、築古でも気にせず、立地メインで住む場所を選んでいる人もいる。ニッチな例かもしれないが、築古OKでリノベが絶対条件だった。という買主もいる。
築45年も気にしない。『管理状態』に的を絞った中古マンション選び(HOME’s)
前述で書いた通り、立地が良ければリノベして売るのも一考だろう。
投資目的として買う人
投資目的でマンションを買う人はワンルームを選ぶ人が多い。物件価格が安いので購入ハードルが低く利回りを取りにいくわけだ。「安くて利回りがとれる」ここが共通してくる。ファミリー向け物件でも購入金額が安く、賃料が普通にとれそうなら利回りは上がる。現に、購入価格が安い物件というのは「築古」か「駅遠」、「地方」などのキーワードで探される。このターゲットの場合は最低限のリフォームをして売るか、買主にリフォームをやってもらう前提で現況のまま安い価格で売るか。になる。
投資のひとは賃貸に出すか転売して利益を得る目的で買うかの二択だ。いずれにしても取得価格が低くないとこのターゲットには刺さりにくい。
自分のマンションを選んでくれる一人に出会うため、ターゲットをしぼって売却戦略を練ることも早く売れる秘訣だ。
不動産会社選び、失敗したら築100年になってしまう^^;
流石に価格をさげていけば売れないことは少ないと思うが、全く売れないと、どうしようもなくなってくる。ゼロ円でもいい。放棄ってできないの?そう考えるまでになればこの記事を参考にしてほしい。マンションが売れないから放棄したい。そう考えた人の3つの最終手段。
一番簡単なのが不動産会社が買い取ってくれることだが、仲介で売るにしてもこの不動産会社をどうみつけ、どう出会い、どうリレーションを築いていくかが重要だ。
営業マンに、「売りたくないな」「面倒な売主だな」と思われたら売却活動は事実上止まる。そんなこと無いだろう、と思うかもしれないが、価格設定や売主の依頼の横暴さで売却を積極的に行わない営業マンがいることは事実だ。
依頼する方も依頼される方も今は人間。そのうちAIや自動化になってくれば別だがまずはその人間が行うことを最大限に活かして売却していかねばならない。
人や会社選びとリレーション構築に失敗すれば築50年のマンションの築年数は毎年増えていく。
先に紹介したが一都三県に特化したイエシルマンション査定や全国区の大手イエイの一括査定などを利用しメールでも電話でもうまく利用してまずは営業マンを見極めよう。仲介であれば値付けはもとよりだが顧客にリーチしてくれそうな営業マンをしっかり見極めたほうが良い。残念だが適当な営業マンはそこそこいる。
買取価格は営業マンを選定する必要はない。価格だけで勝負してもらおう。
ちなにみ最終手段として売れにくい場合、賃貸に出そうかな。という判断もあるが、売却を想定した場合、賃貸に出すと収益還元法で計算され更に安い売却価格になる可能性が高い。かつ自己居住用として自分で住みたい人には売れなくなるので注意しよう。
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